クリティカルシンキング‐「前提」を疑うことが最適解への第一歩
- ESSENCE LAB

- 7 日前
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「基本」「常識」「ルール」
というたった2文字程度の言葉が、私たちの思考を停止させ、私たちを新しい挑戦から遠ざけていると思いませんか?
クリティカルシンキングは、その無意識の「前提」を疑い、思考を土台から問い直すための考え方です。
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングとは、「前提」や「常識」を疑う思考法です。
私たちは日常的に「周りに合わせるべき」「これが業界の常識」といった無意識の前提を当たり前に受け入れて生きています。
クリティカルシンキングは、そもそもの前提が本当に正しいのか、別の見方はできないのかを徹底的に問い直す思考法です。単なる批判や否定ではなく、より深い理解と、より確かな判断を下すことを目的としています。
物事の前提を疑う必要性
私たちは普段、常識やこれまでのやり方を深く疑うことはあまりありません。しかし、経営において生産性を高め、より重要な課題に集中するためには、この「前提を疑う」行為が不可欠です。
日常の業務には、「この方法が効率的だ」「これが昔からのルールだ」といった無数の前提が存在します。これらは完璧で、すべてに意味があり、私たちの判断や行動を整えてくれるものだとされています。
例えば、「報告書は必ずA4用紙にまとめる」という前提。これは本当に正しいと言えるでしょうか。
ここで一旦距離を置き、そもそも「用紙である必要があるのか」「何の為にまとめているのか」など、なぜ必要なのか?という前提を再定義することで、はじめて抜本的な業務改善に着手できるのです。
もちろん昔はそれが一番最適だったかもしれないし、今でも最適なルールはあるはずです。しかし、すべてを鵜呑みにせず、前提を疑うことで「やり方」の最適化ではなく、「やること」そのものの必要性を見直す機会をもたらします。
これにより、私たちの大事なリソースを本当に価値のある活動に集中させ、生産性と成果を高めることができるということです。
具体的な3つの思考法
具体例「○○居酒屋では、手書き伝票を素早く書くため、メニュー名を簡略化した呼称を研修で徹底している」
1. 目的の再確認(そもそもの目的はなにか)
日常の業務が「手段の目的化」に陥っていないかを確認します。行動の根源的な目的を再定義することで、より効果的な方法を見つけ出します。最終的には、行動の先に明確な目的があればどのような行動をしていても問題はないと考えています。
思考例:「伝票を早く書くこと」「メニューを覚えること」自体が目的となっていないか、そもそも手書きで伝票を書く目的は何なのかをもう一度考え直します。
2. 前提の見直し(この方法が最適なのか)
私たちは日々、多くの「当たり前」や「常識」の中で仕事をしていますが、時代の変化とともに環境も変わり、過去に有効だった考え方が今では通用しない場合もあります。古びた手段を最適化するのではなく、現在の状況に合ったより最適な手段を考え直します。
思考例:目的が「お客様との距離を大切にする」ことであれば手書きも有効です。しかし、「注文の正確さとスピード」が最優先なら、タッチパネル注文など別の方法は無いかと考えます。
3. 視点の転換(違う考え方は無いか)
1.2の思考で十分な場合も多いですが、さらに一歩進めて、目的や前提から一度距離を置きます。固定概念にとらわれず、異なる立場から物事を見ることで、これまで気づけなかった盲点を発見し、新しい気付きを得ることができます。
思考例:これまで「お客様目線」だけだった考え方を、「店長」「スタッフ」という異なる立場の目的や課題から考え直してみます。あるいは、メニューでの注文という形式そのものを見直し、コースメニューへの移行など、発想を転換した提案を検討することも有効です。
日常から始めるクリティカルシンキング
クリティカルシンキングを日常に活かし、思考の習慣を身につけるための3つのポイントをご紹介します。
1.この行動は「何のため?」と問いかける 日々の行動や決まりごとに対して、「そもそもこれは何のために行っているのか?」と立ち止まって考える習慣をつけましょう。手段が目的化していないかに気づく第一歩です。
2.「~をすべき」「~は当たり前」は立ち止まる 「こうすべきだ」「これが常識だ」という考えが浮かんだら、それは思考が停止している合図。一度その前提を受け入れず、「なぜそう言い切れるのか?」と問い直すきっかけにしましょう。
3.大きく変えようとせず、小さなことから少しずつ試す いきなり全てを変えようとする必要はありません。日々の習慣や身近な業務のひとつを選び、ほんの少しだけやり方を変えてみることから始めましょう。小さな成功体験が、さらなる変化への意欲を生み出します。
考える習慣が未来を創る
常識やルールは、確かに私たちを守り、導いてくれるものです。しかし、それらに思考を委ね、疑問を持つことをやめた瞬間、私たちは自らの可能性に制限をかけてしまいます。
クリティカルシンキングは、何も難しいものではありません。無意識の前提に「本当に?」と問いを立て、物事の本質を見極めようとする、ただその姿勢そのものです。
今日から、あなたはそのための「3つの思考法」という道具を手に入れました。
この道具は、日常のほんの小さな疑問から使い始めることができます。そして、この思考を習慣にすることが、現状を打破し、新しい未来を創る最も確実な一歩となります。

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